年度初めや長期休暇明けに必ず発生する、Chromebookの起動トラブル。
- 「リカバリ画面が出て進まない」
- 「OSが壊れている」
こんな報告を受けた瞬間、授業も業務も完全にストップしてしまいます。
この記事では、現場で数多くのChromebookを復旧してきた経験を元に、最短で授業を再開できる復旧手順を、簡単なものから順番にまとめています。
この記事を読むことで、混乱を鎮め、端末復旧に向けた確実な道筋が見えるようになります。
🚨【最速解決】緊急時の応急処置チェックリスト
まずは現場の混乱を抑えるために、以下の3つだけ最優先で実行してください。
1. 電源ボタンを15秒長押し
OSが完全に落ちていない可能性があります。強制シャットダウン後、数秒待って再起動。
2. バッテリーケーブルの抜き差し
※裏蓋を開けることに抵抗がなければ
一度バッテリーケーブルを外し、30秒待ってから再接続 → 起動を確認。
3. ゲストモードでログインできるか確認
もしログイン画面が表示されるなら、ゲストモードでネットワークが正常か確認。
🔍 トラブル原因の切り分け(ここが時間短縮の鍵)
Chromebookの起動トラブルは、以下のいずれかが原因です。
- ハードウェア
- OS・システムファイルの破損
- MDMポリシー(学校設定)
以下のチェックで原因を高速特定します。
● 切り分けステップ表
| 切り分け内容 | チェックすること | 原因の見極め |
|---|---|---|
| 切り分け1:別端末で確認 | 他のChromebookでも同じ現象が出る? | Yes → MDM/ネットワーク問題 No → その端末固有の問題 |
| 切り分け2:USBリカバリ | リカバリが途中で止まる? | 止まる → SSD/eMMCの故障 完了する → 軽微なOS破損 |
| 切り分け3:電源ランプ | 点滅や異常な挙動は? | Yes → バッテリー/電源回路の故障 |
🛠 ステップバイステップ解決手順
※簡単なもの → 深い領域の対処の順で紹介
【手順1:ハードウェアリセット(最初に必ずやる)】

- Chromebookの電源を切る
- Refreshキー(更新マーク) + 電源ボタンを同時長押し
- 画面が切れて再起動するまで待つ
- ログインできるか確認
→ これだけで直る例が非常に多いです。
【手順2:USBリカバリ(リカバリメディアによる復旧)】

⚠ ローカルデータ(ダウンロードフォルダ等)はすべて消えます。
手順:
- 別の正常なPCを用意
- Chrome拡張機能「Chromebook リカバリ ユーティリティ」をインストール
- 8GB以上のUSBメモリを用意してリカバリイメージを作成
- エラー端末で
- Esc + Refresh + 電源 を同時押し
→ 白いリカバリ画面を表示
- Esc + Refresh + 電源 を同時押し
- USBを挿して、画面の指示に従いリカバリ実行
【手順3:デベロッパーモードによる強制初期化(上級者向け)】

⚠ 大事な注意
- Verified Boot(セキュリティ)が無効になる
- すべてのデータが消える
- MDM(管理)への再登録が必要
- この手順は、セキュリティ設定の変更とMDMへの再登録が必要です。必ず管理者権限を持つ担当者が実施し、他の手順で解決しなかった場合の最終手段としてください。
手順:
- 電源を切る
- Esc + Refresh + 電源
- リカバリ画面で Ctrl + D
- 表示された指示に従いデベロッパーモードへ移行
- 初期化プロセス終了後、工場出荷時設定へ戻す
🏫 学校現場特有の原因と対策(プロ向けノウハウ)

| 発生原因 | 学校特有の事情 | 有効な対策 |
|---|---|---|
| MDMポリシーの競合 | 一斉再起動でリカバリ画面に進む例 | MDMの「再起動スケジュール」を確認・調整 |
| 多重ログインによるプロファイル破損 | 1台を複数児童が使う | 「ローカルユーザー自動削除」ポリシーを有効化 |
| 古いファームウェアによる不具合 | 初期GIGA端末によくある | MDMでファームウェアを最新へ強制更新 |
🆘 復旧しなかった場合の「次の手」
ここまでで直らない場合は、ほぼ確実にハードウェア故障です。
- 予備機を貸し出して授業を継続
- ベンダーに修理依頼(エラーコードを記録)
- 保証外なら部品取りとして保管
✅ 再発防止の運用改善
- MDMで デベロッパーモード禁止 を設定
- リカバリUSBを複数常備
- MDMで ファームウェアの定期更新 を実施
📌 まとめ(最速復旧ポイント)
- まずは Refresh + 電源 のハードウェアリセット
- 次に USBリカバリでOS再インストール
- 直らない場合は ハードウェア故障と判断して予備機対応
🤝 現場目線のメッセージ
「授業が止まった!」という緊張感の中でトラブル対応をする先生方、本当にお疲れ様です。
あなたの冷静な対応が、児童生徒の学びを守っています。
現場のICT環境を支えるあなたは、間違いなく 学校のヒーローです。
先生方からの「授業が止まった!」という焦りの声を受け止めながら、冷静にトラブル対応をするあなたの苦労は、同じ現場の人間として痛いほどよく分かります。GIGA端末のトラブル対応は、マニュアル通りにいかない戦場です。
しかし、あなたが今日このマニュアルで学んだ知識と、混乱の中で電源ボタンを探し当てるその冷静な判断力こそが、子どもたちの学びを中断させない「最後の砦」です。
トラブルを解決に導くあなたは、紛れもなく学校現場のデジタル化を支える影のヒーローです。この経験が、あなたの揺るぎない自信と、明日以降の現場対応の確かな盾となります。
本当にお疲れ様でした。自信を持って、次のミッションも乗り越えていきましょう!


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