この記事で分かる事
・次世代型校務支援システムとは何か
・導入すると学校現場で何が変わるのか
・教育委員会が導入前に準備しておきたいこと
・クラウド化に伴って必要になるセキュリティ・運用ルール
・学校現場から見た「次世代型校務DX」の本音
こんにちは。教育委員会のICT担当の方は日々の業務お疲れ様です。
皆さん、今まさに奮闘されているであろう最近のトレンド「次世代型校務支援システム」について記事にしました。
教育委員会のICT担当者であれば、
- 次の校務支援システムをどうするか
- クラウド化をどう進めるか
- 現在の校務系ネットワークをどうするか
- セキュリティをどう考えるか
- 県域での共同調達・共同利用をどうするか
といった話が、少しずつ現実的な課題になっているのではないでしょうか。
一方で、学校現場では、
「次世代型って、今の校務支援システムと何が違うの?」
「クラウドになると何が便利なの?」
「結局、先生の仕事が増えるのでは?」
と感じている方も多いと思います。
この記事では、教育委員会のICT担当者と学校現場の両方の視点から、次世代型校務支援システムとは何なのか、導入すると何が変わるのかをできるだけ分かりやすく整理します。
- 次世代型校務支援システムとは?
- 令和11年度までに全自治体で導入するという目標
- 次世代型になると何が変わるのか?
- ① 職員室にいなくても校務ができる
- ② データを「入力する」から「つなげて使う」へ
- ③ 「紙に書いて、また入力する」を減らす
- 学校現場では何が変わる?
- 自治体でもすでに動き始めている
- 埼玉県では県内での共通化を検討
- 東京都でも次世代校務DXを大規模に推進
- 次世代型校務支援システムを導入するために必要なこと
- ① クラウド基盤の整備
- ② 認証システムの整備
- ③ ネットワーク環境の整備
- 実は一番大切なのは「システム」より「業務の見直し」
- 次世代型を導入すると「運用ルール」も変わる
- 教育情報セキュリティポリシーの見直し
- 研修も「システム操作研修」だけでは足りない
- 教育委員会にも「専門職」が必要になる(個人的感想)
- 次世代型校務支援システムは「システム更新」ではない
- 教育委員会ICT担当者が今から考えておきたいこと
- まとめ(ICT担当者にとって、これからが本番)
- 参考資料
次世代型校務支援システムとは?
次世代校務支援システムとは、従来のオンプレミス型(センターサーバー方式)からクラウドの活用を前提として場所を選ばない柔軟な校務(ロケーションフリー)やデータ連携を実現し、教員の働き方改革や教育活動の高度化を支える新しい仕組みを備えた校務支援システムのことです。
文部科学省は、次世代校務支援システムについて、令和11年度までの全国導入を目標としており、普及に向けて、各自治体への導入を推進しています。
次世代型校務支援システムが導入されると、
- 学校における働き方改革
- 教育活動の高度化
- 教育現場のレジリエンス確保
などにつなげる新しい校務の在り方が大きく変わってくるとしています。
なので今回の次世代型校務支援システムの導入は単純に、
「今まで使っていた校務支援システムを新しいものに交換する」
という話ではありません。
むしろ重要なのは、
「学校の仕事そのものを、クラウドやデータ連携を前提とした形に変えていく」
という点です。実際に取り組むのは自治体なのですが、、(小言)
令和11年度までに全自治体で導入するという目標
ここは教育委員会のICT担当者にとって、非常に重要なポイントです。
文部科学省の「次世代校務DXガイドブック」では、教育DXに関するKPIの一つとして、
令和11年度までに全自治体で次世代の校務システムを導入済みとする
ことが示されています。
そのため、各自治体にとっては、
「いつか検討すればいい」
という話ではなく、
現在の校務支援システムの更新時期を見ながら、計画的に移行を検討していく段階
に入っています。
実際、都道府県が次世代型校務支援システムの共同調達という形で進めている自治体もあり、
予算的なと都合で導入が進まない小規模自治体には費用メリットがあり、
また、広域で同一のシステムを導入することで、教育事務所管内の自治体間での教員や児童生徒の異動に伴うデータ処理が容易になるなどのメリットがあります。実現には課題も多いですが。
次世代型になると何が変わるのか?
ここが一番重要なところです。
「クラウドになります」
「ネットワークを統合します」
と言われても、学校現場の先生からすると、
「それで何が便利になるの?」
となります。
そこで、専門用語ではなく、先生にとってのメリットから考えてみます。
① 職員室にいなくても校務ができる
これまでの学校では、
「校務は職員室のパソコンで行う」
という環境が多くありました。
例えば、
教室
↓
職員室へ移動
↓
職員室のPCで校務システムにログイン
↓
入力・確認
↓
また教室へ戻る
という流れです。
しかし、次世代校務DXでは、適切なセキュリティ対策を前提として、場所に縛られない校務が可能になります。
文部科学省も、次世代校務DXの具体例として、
- 教室での校務
- 出張先からの会議参加
- 学校外からのテレワーク
などを挙げています。
つまり、
「職員室に行かなければできない仕事」
を減らしていくことができます。
② データを「入力する」から「つなげて使う」へ
もう一つ大きいのが、データ連携です。
現在の学校では、
- 校務支援システム
- 学習支援システム
- 健康管理
- 出欠管理
- 保護者連絡
- デジタル教材
など、さまざまなシステムがあります。
問題は、それぞれが独立しているケースがあることです。
そのため、
「Aシステムに入力した情報を、またBシステムにも入力する」
という二重入力が発生することがあります。
次世代校務DXでは、こうしたデータを連携させ、
一度入力した情報を、必要な場所で活用する
という考え方が重要になります。
文部科学省も、校務系データと学習系データを円滑に接続し、データを分析・活用することで、きめ細かな指導や学級経営、教育政策の改善につなげる方向性を示しています。
③ 「紙に書いて、また入力する」を減らす
次世代校務DXでは、単純なペーパーレス化も重要です。
例えば、
保護者から書類を提出
↓
学校で確認
↓
紙を保管
↓
担当者がシステムへ入力
という流れがあれば、デジタル化しても途中に紙が残っている限り、業務は完全には効率化されません。
文部科学省も、紙とデータの二重管理を避けるため、業務フロー全体を見直し、データで完結させることが重要だとしています。
つまり、
「紙をPDFにする」だけではDXではない
ということです。
ここは教育委員会がシステム導入を考える際にも、非常に重要な視点だと思います。
学校現場では何が変わる?

では、実際の学校ではどう変わるのでしょうか。
例えば「欠席連絡」を考えてみます。
これまで
保護者
↓
電話・メール等で学校へ連絡
↓
学校職員が確認
↓
担任へ伝達
↓
担任が出欠確認
↓
学級日誌などへ記録
という流れだったものが、
DX後
保護者
↓
クラウドで欠席連絡
↓
学校側で情報共有
↓
出欠情報へ反映
↓
必要な情報を各システムで活用
という流れに変わっていく可能性があります。
もちろん、実際の機能や運用方法は自治体・システムによって異なります。
重要なのは、
「先生が毎回同じ情報を入力する」という仕事を、システム側へ移していく
という考え方です。
自治体でもすでに動き始めている
次世代校務DXは、国の資料だけに書かれている話ではありません。
実際に自治体レベルでも、具体的な取り組みが始まっています。
埼玉県では県内での共通化を検討
埼玉県では2026年、県内市町村の校務支援システムを共通化することを目的として、次世代型校務支援システムの情報提供依頼を実施しました。
県は、
- コストの低減
- 運用負担の軽減
- 学校現場の業務負担軽減
- 児童生徒と向き合う時間の創出
- 教育の質の向上
などを目的として挙げています。
これは、単に「新しいシステムを買う」という話ではありません。
自治体単位ではなく、より広い範囲でシステムを共通化していく
という方向性が見えてきます。
東京都でも次世代校務DXを大規模に推進
東京都教育委員会も、都内の区市町村と連携し、次世代校務DX環境の共通化を進めています。
東京都は、都内公立小中学校等の児童・生徒約83万人、教員約5万人が利用する環境を対象として、統合型校務支援システムの共通化を進める方針を示しています。
自治体ごとにバラバラにシステムを整備するのではなく、
「共通化できる部分は共通化する」
という考え方は、今後の大きなポイントになりそうです。
次世代型校務支援システムを導入するために必要なこと

ここからは、教育委員会のICT担当者にとって特に重要な部分です。
次世代型校務支援システムを導入するといっても、
システムを契約すれば終わり
ではありません。
むしろ、そこからが大変です。
① クラウド基盤の整備
次世代校務DXは、クラウド上で校務を行うことが基本的な考え方です。
そのため、
- クラウド環境
- ID管理
- 認証
- アクセス制御
- データ保護
- バックアップ
- ログ管理
などを考える必要があります。
文部科学省は、次世代校務DX環境を構成する要素として、強固なアクセス制御、ネットワーク統合、クラウド型校務支援システム、データの可視化・利活用を挙げています。
② 認証システムの整備
「どこからでもアクセスできる」
ということは、
「誰でもアクセスできる」
という意味ではありません。
むしろ逆です。
場所によって安全性を判断する従来型の考え方から、
「誰が、どの端末から、どの情報へアクセスしているのか」
を確認する仕組みが重要になります。
そのため、
- ID
- パスワード
- 多要素認証
- アクセス権限
- 端末管理
- ログ
などを組み合わせて、安全性を確保していく必要があります。
③ ネットワーク環境の整備
クラウド型の校務支援システムを導入するのであれば、当然ながらネットワーク環境も重要です。
学校のネットワークが遅ければ、
「クラウドにしたのにシステムが重い」
という本末転倒な状態になる可能性があります。
次世代校務DXでは、学習系と校務系のネットワークを統合する方向性も示されています。
ただし、単純にネットワークを「つなげればいい」という話ではありません。
セキュリティ対策を前提としたネットワーク設計
が必要になります。
実は一番大切なのは「システム」より「業務の見直し」
ここは個人的にも非常に重要だと思っています。
新しいシステムを導入すると、
「今まで紙でやっていた仕事を、そのままシステムに入力する」
ということが起こりがちです。
これでは、
紙の仕事+デジタルの仕事
になってしまいます。
文部科学省のガイドブックでも、デジタル化はあくまで手段であり、単純に既存業務をデジタルへ置き換えるだけでは、むしろ業務を増やす可能性があるとしています。
だからこそ、
「この帳票、本当に必要ですか?」
「この作業は誰がやる必要がありますか?」
「この情報をもう一度入力する必要がありますか?」
というところから見直す必要があります。
これは教育委員会だけではなく、学校現場と一緒に考えていく必要がある部分でしょう。
次世代型を導入すると「運用ルール」も変わる
ここも非常に重要です。
これまで、
「職員室のPCだから使える」
「校務用ネットワークだから安全」
という考え方だった学校では、クラウド化によって前提が変わります。
例えば、
- 教室で校務PCを使う
- 校外で校務を行う
- 出張先から会議へ参加する
- 自宅から特定の校務を行う
といったことが可能になる場合があります。
そうなると、
「そもそも、どこまで校務をしてよいのか?」
というルールが必要になります。
教育情報セキュリティポリシーの見直し
次世代校務DXでは、システムだけでなく、
教育情報セキュリティポリシー
も重要になります。
例えば、
- 校務端末の持ち出し
- 自宅での利用
- 校外での利用
- USBメモリ
- 印刷
- クラウドへの保存
- 多要素認証
- パスワード管理
- 端末紛失時の対応
などについて、改めてルールを整理する必要があります。
PC端末の「使い方」も変わる
次世代校務DXを進めると、
「PCは職員室に置いておくもの」
という考え方も変わってくる可能性があります。
教室で校務を行うのであれば、
- ノートPC
- タブレットPC
- 校務用端末
- 認証環境
- Wi-Fi
などを組み合わせて考える必要があります。
そのため、教育委員会ではシステム調達だけでなく、
端末・ネットワーク・認証・セキュリティ・運用ルールをセットで設計する
ことが重要です。
研修も「システム操作研修」だけでは足りない
新しいシステムを導入すると、当然、
「操作方法を覚えてください」
という研修が行われます。
しかし、次世代校務DXでは、それだけでは不十分だと思います。
必要なのは、
「なぜ、このような仕組みに変えるのか」
を理解してもらうことです。
例えば、
「職員室でしかできなかった仕事が教室でもできる」
「紙の帳票を減らす」
「同じ情報を何度も入力しない」
「データを連携して活用する」
といった考え方です。
システムの操作方法だけではなく、
業務そのものの変化を理解してもらう研修
が必要になります。
現場の正直な気持ち
ここからは、少し現場目線で書きたいと思います。
正直なところ、
学校現場も教育委員会も、今かなり忙しい時期に入っている
と感じます。
GIGAスクール構想によって、
- 1人1台端末
- Wi-Fi
- MDM
- Google Workspace
- Microsoft 365
- デジタル教材
- 校務支援システム
- セキュリティ
など、学校に入ってくるICTは一気に増えました。
そして、これからはさらに、
「校務そのものをDXする」
段階に入ります。
これは、現場の先生にとっても大きな変化です。
そして、教育委員会のICT担当者にとっては、
システムを導入するだけではなく、ネットワーク、セキュリティ、認証、端末、ルール、研修、学校との調整まで考える必要がある
ということになります。
教育委員会にも「専門職」が必要になる(個人的感想)
個人的には、ここも今後かなり重要になると思っています。
これまでの学校ICT担当は、
「パソコンに詳しい職員」「ICTが得意な先生」
などの知識や経験に支えられてきた部分もあります。
しかし、次世代校務DXになると、
- クラウド
- ネットワーク
- セキュリティ
- 認証
- データ連携
- システム調達
- ベンダー調整
- 業務改善
など、求められる知識が非常に広くなります。
一人の担当者がすべてを理解するのは、簡単ではありません。
だからこそ今後は、教育委員会においても、ICTを専門とする人材をどう確保するか
が重要な課題になるのではないでしょうか。
次世代型校務支援システムは「システム更新」ではない
ここまでの話をまとめると、次世代型校務支援システムについて、
「今の校務支援システムを新しくすること」
だけだと考えると、本質を見失う可能性があります。
本当に変わるのは、
「学校の仕事のやり方」です。
例えば、
今まで
職員室で仕事
↓
紙で処理
↓
担当者が入力
↓
別のシステムへ再入力
↓
書類を保管
だったものが、
これから
クラウドで情報共有
↓
必要な人が必要な場所から確認
↓
データ連携
↓
自動集計・自動反映
↓
必要な情報を教育活動へ活用
という形へ変わっていく可能性があります。
もちろん、すべてが自動化されるわけではありません。
「人が判断すべき仕事」と「システムに任せられる仕事」を分けていくこと
が重要になります。
教育委員会ICT担当者が今から考えておきたいこと
最後に、教育委員会の担当者が今から整理しておきたいポイントをまとめます。
チェックポイント
□ 現在の校務支援システムの契約・更新時期
□ 次期システムの方向性
□ 都道府県域での共同調達・共同利用の可能性
□ クラウド環境
□ ネットワーク環境
□ 認証・アクセス制御
□ 端末環境
□ セキュリティポリシー
□ 校務端末の持ち出しルール
□ 学校現場の業務フロー
□ 不要な帳票・二重入力の整理
□ 教職員向け研修
□ 導入後のサポート体制
特に重要なのは、
「システムを選ぶ前に、学校の仕事を見直す」ことだと思います。
まとめ(ICT担当者にとって、これからが本番)
次世代型校務支援システムは、単なるシステム更新ではありません。
学校の校務をクラウド・データ連携を前提とした形へ変えていく取り組みです。
文部科学省は、令和11年度までに全自治体で次世代の校務システムを導入済みとするKPIを掲げています。
そのため、教育委員会のICT担当者にとっては、これから数年間が非常に重要な時期になります。
ただし、「システムを入れればDX完了」ではありません。
ネットワーク、クラウド、認証、セキュリティ、端末、ルール、研修、そして何よりも学校現場の業務そのものを一緒に見直す必要があります。
私自身も学校現場・教育委員会の両方でICTに関わってきましたが、次世代校務DXは、これまでのGIGAスクール構想以上に**「ICT担当者の仕事の幅が広がる取り組み」**だと感じています。
そして、現場の先生にとっては、
「今まで職員室でしかできなかった仕事が、教室でもできる」
「何度も同じ情報を入力する仕事が減る」
という、働き方そのものが変わる可能性があります。
これから次世代校務DXについて、実際の自治体の取り組みや、教育委員会担当者が押さえておきたいポイントなども、このブログで継続的に整理していきたいと思います。
教育委員会のICT担当者の皆さん、しばらく忙しい時期が続きそうですが、一緒に乗り切りましょう。
もし現場で、「これ、うちの自治体だけ?」
と思うような苦労や悩みがあれば、ぜひ共有していただければと思います。
参考資料
・文部科学省「次世代校務DX環境の整備」
文部科学省「次世代校務DX環境の整備」
・文部科学省「次世代の校務DXガイドブック」
文部科学省「次世代の校務DXガイドブック」
・埼玉県「次世代型校務支援システムにおける共同調達」
埼玉県「次世代型校務支援システムにおける共同調達」
・東京都教育委員会「全国最大規模の次世代校務DXプロジェクト」
東京都教育委員会「次世代校務DXプロジェクト」

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