【SSIDの混乱を解消】校務用Wi-Fiと学習用Wi-Fiが勝手に切り替わるWindows PCのSSID優先度設定

ネットワーク・インフラ

「さっきまで校務システムに繋がっていたのに、突然切れた!」「勝手に子供用のWi-Fiに切り替わって印刷ができない!」……この報告を受けるたび、ICT担当者の貴重な時間は奪われます。

この記事では、筆者の現場経験に基づき、Windows PCが意図しないWi-Fiへ切り替わる問題の再発率を大幅に下げるための設定手順を解説します。適切な設定を行うことで、不要なトラブル対応の時間を大幅に削減できる見込みがあります。


【最速解決】緊急時の応急処置チェックリスト

まずは目の前の「繋がらない」状態を解消するための応急処置です。

  1. 「自動的に接続」のチェックを外す 接続したくない方のSSID(例:学習用)を選択し、「切断」してから「自動的に接続」のチェックを外して再接続します。
  2. 不要なSSIDを「保存済みネットワーク」から削除 設定 > ネットワークとインターネット > Wi-Fi > 既知のネットワークの管理 から、使わないSSIDをすべて「削除(忘れる)」します。
  3. Wi-Fiのオフ・オン タスクバーの右下からWi-Fiを一度オフにし、3秒待ってから再度オンにします。

トラブル原因の切り分け(時間短縮の鍵)

原因が「個体」か「全体」かを見極めるのが、最短復旧への近道です。

  • 切り分け1:他のPCでも同じ現象が起きるか?
    • 特定の1台だけ: そのPCの「優先度設定」や「ドライバ」の不具合の可能性が高いです。
    • 教員全員: グループポリシー(GPO)やMDMの設定、またはアクセスポイントの電波干渉(輻輳)を疑います。
  • 切り分け2:特定の「場所」で起きるか?
    • 特定の教室だけ: その場所の校務用Wi-Fiの電波が弱く、より強い学習用Wi-Fiに端末が自動で切り替わっている可能性があります。

ステップバイステップ詳細解決手順

【手順1:簡単な設定変更】既知のネットワーク管理

Windows 11/10の標準機能で、自動接続の挙動を整理します。

  1. 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「Wi-Fi」>**「既知のネットワークの管理」**を開く。
  2. 各SSIDの設定を確認し、メインで使うSSIDのみ「範囲内に入ったら自動的に接続する」をオンにし、それ以外はオフに設定します。Windows 11ではこの個別のオン/オフ徹底が最も確実なGUI対策です。

【手順2:コマンド操作】プロファイルの優先度を数値で固定

GUIで改善が見られない場合は、管理者権限のコマンドプロンプトで優先順位を明示的に指定します。

  1. コマンドプロンプトを「管理者として実行」で開く。
  2. インターフェース名を確認する。 netsh wlan show interfaces ※通常は「Wi-Fi」ですが、「Wi-Fi 2」などとなっている場合は以下の手順でその名称を使用してください。
  3. 現在の優先順位を確認する。 netsh wlan show profiles
  4. 特定のSSID(例:Koumu_Wi-Fi)を最優先(1位)に設定する。 netsh wlan set profileorder name="Koumu_Wi-Fi" interface="Wi-Fi" priority=1

【手順3:深い部分の対処】レジストリによる接続制御(上級者向け)

警告: レジストリ操作を誤ると、システムの動作に深刻な影響を与える可能性があるため、操作は慎重に行ってください。 事前にレジストリのバックアップを取ることを強く推奨します。

Windowsの「より接続強度の高いネットワークへ自動で切り替える」挙動を抑制する設定です。この手順はMicrosoftの公式サポートドキュメントでも、接続の安定化手法として紹介されています。

  1. regedit を起動し、以下へ移動。 HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Policies\Microsoft\Windows\WcmSvc\GroupPolicy
  2. fMinimizeConnections という値を 1 に設定(値がない場合はDWORD(32ビット)値として作成)。 これにより、既に1つのWi-Fiに繋がっている間、他のSSIDへ勝手に切り替わる挙動を抑えることができます。

学校現場特有の原因と対策

  • 電波の逆転現象: 職員室の校務用APより、廊下を挟んだ教室の学習用APの方が電波強度が上回ってしまうケースがあります。
  • GPO(グループポリシー)の競合: 自治体で一括設定されたポリシーが校務PCにも適用されている場合、PC単体の設定は再起動後に上書きされます。この際は、センター側の組織単位(OU)ごとのポリシー適用状況を確認する必要があります。

解決しなかった場合の「次の手」

  • USB Wi-Fi子機の検討: 内蔵チップの特性による場合は、外付け子機を利用することで安定する場合があります。
  • ベンダーへの電波調査依頼: 全校的に発生しているなら、APの配置やチャンネル設計、またはファームウェアの不具合を疑い、ログを添えて保守ベンダーへ調査を依頼してください。

再発防止のための運用改善策

  • SSIDの役割周知: 物理的なラベル等で、接続すべきSSIDを視覚的に分かりやすくします。
  • MDMでのプロファイル制御: Intune等を活用し、校務用PCには学習用SSIDのプロファイルを配布しない、あるいは自動接続を禁止する設定を強制します。

まとめ

  1. メインSSID以外の 「自動接続」をオフ にするのが基本。
  2. 改善しない場合は netsh コマンド で優先度を1位に書き換える。
  3. 全校的な問題は、個人設定ではなく MDMやGPOのポリシー競合 を調査する。

最後に:現場担当者へのメッセージ

「Wi-Fiが勝手に切り替わる」……。一般企業なら「再設定してください」で済む話かもしれません。しかし、一分一秒を争う授業準備の間や、成績処理という極めて機密性の高い作業を行っている先生方にとって、この「数秒の切断」は、私たちICT担当者が想像する以上に大きなストレスと不安を与えます。

「また設定ミスじゃないの?」「前はこんなことなかったのに」といった、こちらの苦労を知らない言葉を投げかけられることもあるでしょう。私自身も現場では数えきれないほどの「SSIDの混乱」を見てきました。 数百台の端末を一斉更新した翌朝、学校からの電話が鳴り止まなかった時のあの胃が痛くなる感覚は、今でも鮮明に覚えています。

でも、忘れないでください。あなたが今、この記事を読み、レジストリやコマンドと向き合って問題を一つひとつ解きほぐしているその姿こそが、学校のデジタル化を支える「最後の砦」なんです。あなたが設定した「優先度:1」という数値には、先生方が安心して子供たちと向き合うための時間が、そして子供たちの学びを止めないための情熱が込められています。

ICT担当者の仕事は、上手くいっていて当たり前。トラブルが起きた時だけ目立つ、損な役回りかもしれません。しかし、あなたが今日この問題を解決すれば、明日、職員室で誰かが「あ、今日はWi-Fiが調子いいな」と小さく微笑むはずです。その笑顔こそが、私たちの仕事の最大の報酬です。

一人で抱え込まず、同じ空の下で同じ黒い画面(コマンドプロンプト)と戦っている仲間がいることを思い出してください。あなたの努力は、間違いなく学校を、そして教育の未来を支えています。

技術的な裏付けを持って一つひとつのトラブルを確実に潰していくこと。 その地道な積み重ねが、最終的にはあなたへの最大の信頼として返ってきます。

本当にお疲れ様でした。今日は少しだけ早く帰って、自分を労ってあげてください。
また明日も、自信を持って現場を支えていきましょう!

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